【書評】君の膵臓をたべたい

友人が泣けると言っていたので買った「君の膵臓をたべたい」をやっと読みました。

久々に小説を読んだんですが、想像以上に良かったので紹介したいと思います。

ちなみにタイトルから想像されるようなグロテスクな物語ではなく、甘酸っぱい青春小説です。

目次
①作品概要
②あらすじ
③魅力
④感想

 

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作品概要

「君の膵臓をたべたい」は住野よる先生のデビュー作です。双葉文庫出版、ジャンルは青春小説。

「本屋大賞2016」2位、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR」2位など高い評価を受けており、累計発行部数は75万部(2017年3月)だそうです。

また、2017年7月28日には実写映画の公開も予定されています。

 

 

あらすじ

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内咲良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていてー。(文庫版背表紙より)

 

上記引用の通り、偶然クラスメイトの秘密を知ってしまった僕が、それをきっかけに彼女と仲良くなり、彼女の残り少ない日々を共に生きていきます。

友達が1人もいないような人生を送ってきた僕は、自由奔放で快活な彼女に振り回されつつも今までにない経験を楽しんでいることを自覚していきます。

様々なイベントを経て関係を深めていく2人。忍び寄る病気。

そして物語は急展開のラストへ・・・!

 

 

魅力

ストーリーは良く言えば王道、悪く言えばベッタベタのベタだと感じました。

余命少ない女の子と病気という秘密をきっかけに仲良くなって…みたいな小説は読んだことある気がするしたぶん一杯あるでしょう。

最近?話題になった「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」のような設定面での目新しさはまぁ全くありません。

 

しかしながらそれを補って余りあるこの作品の魅力が主人公とヒロインのやりとり。

台詞回しと心情描写がとても細やかで、ある時はふわりと、ある時は重々しく僕の心を引き込んでいきました。

 

まずはアイロニカルな「僕」と底抜けに明るい「咲良」の軽快なかけあい。

これには思わず何度もにやけてしまいました。こういうやりとりができる女の子が欲しい人生だった。。。

1人で読んでいたからよかったものの、電車の中なんかで読んでいたら完全に不審者でしたね。

 

それでいて、真面目な話になった時に見せる「咲良」の死と正面から向き合う姿勢、不器用ながらもそれを受け止める「僕」が物語に深みを持たせています。

「【仲良し】くんにしか話さないよ。君は、きっとただ一人、私に真実と日常を与えてくれる人なんじゃないかな。お医者さんは、真実だけしか与えてくれない。家族は、私の発言一つ一つに過剰反応して、日常を取り繕うのに必死になってる。友達もきっと、知ったらそうなると思う。君だけは真実を知りながら、私と日常をやってくれてるから、私は君と遊ぶのが楽しいよ」

心の奥から針で刺されたような痛みが伝わってきた。僕は彼女にそんなものを与えてなんかいないと分かっているからだ。もしも、僕がもしも彼女に何かを与えていると言うならば、それは恐らくただの逃避だ。

 

「咲良」の放つ人生観はとても深くて、重たいです。

これが死を覚悟している人間なのかと、思わず息をのんでしまうような台詞が、何気なく発射されます。

 

自分の生き方を見つめ直させられるというか、「僕はただただ漫然と日々を無駄にしているんじゃないだろうか?」と、そんなことを考えさせられてしまいました。

 

 

そして物語の終盤で明らかになる「共病文庫」の内容。「咲良」の思い。「僕」の後悔。

読んでいるうちに涙がこらえられなくなりそうな真実の告白と2人の思いの強さが心に深く刺さりました。

こんな陳腐な言葉でしか言い表せない自分の表現力が悔しいのですが、そんな圧倒的な鋭さと衝撃を持った終盤でした。

 

 

感想

同じ本を2度読む、という行為を僕はあまりしないんですが、この本は間違いなく数日中にもう1度読みます。

 

僕はどちらかというと「僕」寄りの人間です。

草舟のように大きな流れに身を任せ、どこか冷めたような、諦観したような目線で世界を見ている。

心からのコミュニケーションが苦手で、怖がり。

 

そんな共感のせいか、はたまた単に僕が男性だからなのか、「咲良」の台詞が、まるで自分が言われているように感じられるのです。

それほどまでに感情移入していました。

 

この本を読み始めたのは夜11時頃でしたが、最後まで読まずにはいられませんでした。

読んだ後も胸に残る心の痛みのせいでどうやら今日は寝れそうにないので、こうしてブログを書いています。

悲しみと重みが残る読後感でした。